IMG_8523国境の長いトンネルの手前からもう雪だった。

越後湯沢は、すっかり雪に埋もれていた。
車窓から見える街並みも雪に霞んでいる。

長岡で新幹線から信越本線に乗り換える。

柏崎に行ってくるよというと、みんな「原発のところね」と反応した。

確かにそうだよなぁ。
ほかにイメージが湧いてこないことが、悲しい。

柏崎駅前は日曜というのに閑散としていて、街を行く人の姿もまばらだ。
それでも長く連なる商店街は、かっての繁栄を物語っているようでもある。

強い風に雪が舞い、慌てて折りたたみの傘を広げるが、あまり役には立たない。
雪国の方はみんな、傘をささずに歩いていく。

そう、この街は、実はその昔、石油の産地として栄えていたのだ。
日本石油の発祥の地でもある。
いまでも日本全体の原油消費量の0.5%にも満たない量ではあるが、採掘は続いている。

石油に代わってやってきたのが、世界最大の柏崎刈羽原発だった。

いま新潟県と柏崎とでは、再稼働を巡ってねじれ状態が続いている。
確かにこの街の様子を見れば、再稼働がなければ町の経済が回って行かないということなのだろう。

しかし原発は、多額の補助金を貰っている当該自治体のみの問題ではないこともあきらかだ。

しかも、人通りもなく、営業している店もまばらなような街並みは、柏崎が少なくとも多額の補助金を生かして地場産業を育て、自立の道を目指してきたわけではないことを物語っているようにも思える。

この街の未来を、人々はどう考えているのだろう。

60キロほど東にある燕三条が、世界的に誇れるモノ作りの街として発展しているのと、ものすごく大きな隔たりがあるように感じてしまう。

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