
雑誌ブランドとコラボしたクロスメディア媒体としてXBRANDが鳴り物入りで始まったのが今から8年前でした。
かってはYahoo! Japanのトップページのいい場所にサイト入り口も陣取っていましたが、最近は検索でもしないと行き着かなくなっていました。
まあ、不採算部門の閉鎖だと思います。
当時、私はその渦中にありました。
もとより私の立ち位置は雑誌とネットの融合を推進する方向ではありました。
しかし同時にネットのありようについては大きな疑義も持っていたので、実現にこぎ着けるまでは相当の紆余曲折がありました。
私が、いまや大学の教授になっているS君と二人で強硬に主張したポイントは2つ。
まず「優れたコンテンツは無料ではない」=優れたコンテンツへのリスペクトをネットが持てるのか、ということ。
そしてもうひとつは、ページビューではなく、ページバリューという観点にネットが立てるか、ということでした。
費用と手間をかけなければ、きちんとしたコンテンツを継続的に生産し続けることはできません。
それは、ネット上に溢れていたゴミとは一線を画したものへのリスペクトということでもありました。
そしてまた、内容は問わずにアクセス数だけを問うネットの常識にも異議を唱えました。
それはネットが苦手とするヒエラルキーをつける作業(それはユーザーランキングなどとは根本的に異なるものです)が唯一可能な雑誌ブランドの力を、どう取り込んで活かすか、というネット側からのチャレンジでもあったんだと思います。
最終的にはすべてを認めさせる形で、スタートをしました。
まあ、間に立った電通の努力もかなりあったと思います。
そして当初の予想を上回る形で、XBRAANDは順調に伸びていきました。
ただ、結局はこういう結果を迎えたわけです。
もちろん広告媒体としての雑誌の凋落と無縁ではないでしょう。
同時に、「ネットは無料」という世界観に対する雑誌の敗北でもあるとも思います。
ただ、ブランドとはこういうものであるという認識は、今も変わっていません。
電車の中で、だれもがケータイを見ています。
雑誌を読んでいるものなど、もはやどこにも存在しません。
そして、ケータイユーザーは、その昔雑誌に使っていたお金の数倍の金額を月額使用料として取られ続けながら、無料のコンテンツを見続けます。
減り続ける可処分所得の中で、拡大する格差社会の流れに飲み込まれながら。
かく言う私自身もまったく同じなわけです。
データ
ダンガリー風の麻ジャケット:grn
白×グレーの細いボーダーTシャツ:アニエス ベー
黒いスリムフィットのワークパンツ:H&M
紺のストール:バリ島 ウブド
黒いハイカットバスケットシューズ:コンバース オールスター
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